どうもー皆さま、ボンジョルノ♪
日本では「アランチーニ」で知られるシチリアのライスコロッケ。発祥の地である本場シチリアでも、愛されて数百年。特に、シチリア島州都パレルモでは「アランチーナの日」まであるくらい。
え?アランチーナ?そう、ご当地シチリアでは語尾に着目。
今日は、現地での正しい呼び方とその由来、現地での愛されっぷりや美味しいアランチーニの見分け方まで、シチリアの内側からw、まとめてご紹介します。
▼パレルモ名物ストリートフードの基本とまとめはこちら。
アランチーナvsアランチーノ論争〜語尾を間違えるとVIPも炎上!
アランチーニの本場シチリアでは、パレルモを代表とするシチリア島の西岸では、「アランチーナ」。カターニャのある東岸では、「アランチーノ」と呼びます。

シチリア島内では、「アランチーナが正しい!アランチーノだ!」で、年に数回論争も勃発します。毎年w。
インテルとミラン、ASローマとラツィオの戦いのように、シチリアではアランチーニの呼び名での戦いが起きるわけです(もちろんサッカーでもパレルモVSカターニャ戦は以上な盛り上がりになりますが、所詮はセリエB…w)。
シチリア・バカンス中のスーパーインフルエンサー、キアラ・フェラーニも炎上
日本ではあまり知られてないかもですが、イタリアでは一挙手一投足がいちいち取り沙汰されるスーパーインフルエンサーのキアラ・フェラーニさん。
最近、シチリアにバカンス中の投稿が、いつも以上に話題を呼んでいました。
バカンス先のエオリア諸島、ボン先輩も毎年行く世界遺産の島々に向かうために寄ったパレルモで、「アランチーノ”を食べた」と投稿したのが理由w。
▼わざわざ地元紙が取り上げてました。
キアラ・フェラーニが、ファルコーネ・ボルセリーノ空港に到着後、ロスティチェリアに向かい、移動中の車中から「お気に入りのアランチーノ」と、写真を投稿。
「パレルモではアランチーナと呼ぶのだ!」と、炎上した。
彼女のインスタを見に行ったら…削除されてたので、相当炎上した模様ですwww。←パレルモ人が中心に非難を浴びせたんだろうなーと容易に想像がつく。
もし、パレルモでアランチーニを食べる時は、「アランチーナ」と呼ばなければなりません。それくらいにこだわりのあることでもあるのですw(笑っちゃうけど)。
アランチーナ?アランチーノ?呼び方の起源を探る
さて、パレルモの「アランチーナ」、カターニャの「アランチーノ」。
呼び方も違う上、形も少々異なります(パレルモは、まん丸か楕円。カターニャは、三角錐)。
はたして、丸いアランチーナが正解なのか?尖ったアランチーノが正しいのか?いつも揉めるこの二つのライスコロッケの名前と由来を探ってみました。
そもそもアランチーナ(ノ)の起源は?
アランチーナ(ノ)の発祥は、シチリアがアラブに支配されていた時代(9から11世紀)。アラブ人には、サフランで色付けしたお米を丸めて食べる習慣があったそうで、当時のシチリア王が狩りに行く際に、保存が効くよう揚げたことが始まり…。
と、言われています。
が、ある言語・文献資料に基づいた専門的解説によれば「どの資料にも19世紀後半以前には一切見られない」とあるので、伝説の可能性が高いようです。
同記事を参考に読み解くと、1857年に発刊された『シチリア語–イタリア語辞典』(ジュゼッペ・ビウンディ著)で、初めて「アランチーヌ(arancinu)」という名前で「オレンジの形をした米の甘い料理」が登場。
伝統的な具の「ラグー(ミートソース)」に使われるトマトも、シチリアでの栽培が始まったのは、19世紀初頭。総合すると、トマトが一般的に使われるようになり、「ミートソースを詰めたサフラン入りのおにぎり」となったのは、19世紀後半以降となりそうです。
いずれにしても、イタリア農業・食料政策省も「伝統的イタリア食品リスト」に記載されたシチリア発祥の伝統料理であることは間違いありません。
「アランチーナ」の名前の由来
イタリア語は、一般的に樹木名は男性名詞、果実名は女性名詞にします。
男性単数/ 女性単数
melo / mela リンゴの木/リンゴ
pesco / pesca モモの木/モモ
mandrolo / mandorla アーモンドの木 / アーモンド
といった具合です。オレンジの場合も同様に、
arancio / arancia オレンジの木 / オレンジ
「小さなオレンジ」は、arancia アランチャに縮小辞をつけて、「arancina アランチーナ」なので、丸い小さなオレンジのようなライスコロッケ=アランチーナと言うわけです。
「アランチーノ」の名前の由来
一方、シチリア語でオレンジの実は「aranciu(アランチュ)」。
「小さなオレンジ」は、縮小辞をつけて「arancinu アランチヌー」となり、これをイタリア語にすると、「arancino アランチーノ」(男性形)になるという…謎の現象が起きますw。
また、シチリア語では、「arancinu アランチヌー」は「オレンジ色」の意味にもなるので、オレンジ色のライスコロッケ=アランチーノでも良いわけです。
結局、どう呼ぶのが正しいの?
アランチーナは、標準イタリア語名称として正しく、アランチーノは、方言由来の名称として正しい。
つまり、どっちも正しい!
アンドレア・カミレーリの「モンタルバーノのアランチーニ」(1999年刊)によって、テレビドラマを通して全国的に「アランチーノ(複数形アランチーニ)」呼びが広がり、シチリア以外では、アランチーノの方が一般的になったと言う説もありますので、まあ、アランチーノが一般的とはいえますが、
パレルモでは、アランチーナ
でお願いしますw。炎上しますので!
おまけ:アランチーニは複数形、1個でもアランチーニとはこれいかに?
基本的なイタリア語の知識を解説すると、イタリア語の名詞は、男性形・女性形・単数・複数で、語尾が変化します。それぞれ基本の語尾の形は、-o、-a、-i、-e。 ※不規則形も多数あり。
例えば、「ブラーヴォ」。これは男性形の単数。
女性に言うなら、「ブラーヴァ」
複数の男性にまとめて言うなら「ブラーヴィ」
複数の女性にまとめて言うなら「ブラーヴェ」
といった具合。
アランチーナ 女性形・単数/アランチーネ 複数
アランチーノ 男性形・単数/アランチーニ 複数
イタリア人からしてみると「1個でもアランチーニとは、これいかに?」ですが、なぜか日本では、「パニーニ」「カンノーリ」も複数形が定着してますよね。不思議です。
パレルモで愛される続けるアランチーナ
アランチーナは、パレルモの名物ストリートフードのひとつ。
それでなくても郷土愛が強いので、旅行者には是非とも「我がまち」自慢のアランチーナを食べていただかなくては。といった具合で、バールや専門店など街のいたるところでアランチーナが見つかりますが、特に12月13日は、本当に…街中にアランチーナがあふれますw。
12月13日は、聖人サンタルチアの日。パレルモでは別名「アランチーナの日」として知られています。
パレルモでは、12月13日が「アランチーナの日」
それは、サンタルチアの起こした奇跡に由来します。
その奇跡は、飢餓のあった1646年、麦を大量に積んだ船が、たまたま嵐でパレルモの港に漂着。市民を飢餓から救った。と言うもので、その日が12月13日(サンタルチアの日)だったことから、この日は、小麦を使った料理を食べないことで、改めてサンタルチアへの感謝を思い出そう。と言うわけです。
▼サンタルチアの日詳細。
パン屋さんもお休みになるくらい、一応真面目な宗教の日ですが、パレルモでパンとパスタを食べないなら、アランチーナ一択。ってなもんで、結果的に「アランチーナの日」になっています。

伝統的なご家庭では、1000個単位で作ったりもしますが、街での暮らしはほとんど買うことになるので、ここぞとばかりにアランチーナが売られます。
バールやカフェで、バクバク食べてる人たちや、なんだか嬉しそうなおじさんたち↑を見てると、どうしたって食べたくなるので…キリスト教信者でも伝統的家庭でもないですが、我が家も12月13日はアランチーナです。
アランチーナとクッチアをセットで食べる
アランチーナとセットで食べるのが、「クッチア」。これもまたサンタルチアの奇跡にちなんで、茹でた麦をベースにした素朴なシチリア菓子のひとつです。

美味しいアランチーニは、手作りフワフワ系が本場流!
パレルモのどこでも食べられるアランチーナですが、クオリティはピンからキリ。

美味しいとされるのは、「ギュッと握ってない」ものです。形は保っているけど、食べるとホロホロと柔らかくほぐれ、具と共に、外側のパリパリサクサクを一緒に楽しめる。そんなアランチーナが良いアランチーナ。
お寿司のシャリに似た発想ですね。


マンマが作る昔ながらの手作り系は、衣薄めでフワフワ食感。なんだか懐かしくもあります。地元の人は、”家で作ったみたい”なフワフワ系が好きな人が多め。
伝統の具は、カルネとブッロ、最近はバリエーションも豊富
アランチーナの具で、伝統的なものは「カルネ」(ミートソース)と「ブッロ」(ハムとモッツァレッラ)。
カルネがまん丸で、ブッロは楕円形で見分けます。

最近は、ほうれん草、フンギ、スモークサーモン、カレーなど、具のバリエーションも増えました。


Ke Palleは、チェーン展開してるだけあって大量生産っぽさは否めませんが、具材バリエーションの多さやカリッカリの衣が魅力。観光客に人気のお店です。
すぐ手が洗える環境も美味しさの秘訣…
パレルモ名物ストリートフードですが、手に持って歩きながら食べる…と、手がめっちゃ汚れる!んですよね。ベタベター。すぐに手が洗える環境を確保するためw、いつもお持ち帰りにしています(日本と違って、その辺に公共のトイレが、ない。から)
ナプキンとも言えない薄いカシャカシャした紙を何重にもして、包んで食べるのが現地の食べ歩きの基本形ですが、油で揚げてるアランチーナ。どうしたって油が手につきます。
ウェットティッシュを多めに持っていくのが現地での食べ歩きのコツです。
…現場からは以上です。
どうぞ美味しい水曜日を!
Buon mercoledi!
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