イタリア暮らしでよくあるけど、日本ではあんまりないな。と思うこと。長いイタリア暮らしの中では、日々体験します。
そこで学ぶことも多々ありますが、暮らしの中で繰り返すうち、いつの間にか身についてしまう…まあ、それはそれで良いのだけど、ちょっと覚えておきたいなと思ったことを再掲。
大げさだけど好きなイタリア人がよく言う言葉
* * * * *2009年6月のアメブロより
ある夜、こんなことがありました。
友人の友人の出版記念パーティーの招待アポが迫った夕方。
内容的にはあまり興味ない感じだったし(ごめん)、友人の友人だし、できれば行きたくなかったのだけど…ピンキー(夫)がすでに「行く」とお返事済み。
となると、行かないわけには行かない。
でも、心の奥には「めんどくさい」があって、ぜんぜん支度がはかどらない。
そんな様子を見たピンキー(夫)が「行きたくないの?」と聞いてきました。
「いやぁ…行きたくないわけじゃないんだけど…」とブツブツ言ってると、「○○が会いたがってたよ~」とか「料理が美味しいかも」だとか、説得を試み始めました。
説得されればされるほど面倒臭ささは増してきて、余計にダラダラし始めた私に、ピンキーが放ったこんなひと言。
Allora, devi ascolatre come senti dentro.
(アッローラ, デーヴィ・アスコルターレ・コメ・センティ・デントロ)
出た!
これ、イタリア人がよく言うフレーズです。
ほかにも様々な言い回しがありますが、意味は「じゃあ、君の心の声をよく聞いて」。
意訳すれば「で、どーしたいの?」程度だけど、「心の声を聞け」の言い回しがなんとも大げさで好きです。
自分の心の声って、あえて耳を傾けないと、なかなか聞こえないもんよね〜と気づかせてくれるから。日常の些細なことだと、特に。
そうは言っても心の声に従えない
とはいえ、イヤだなーとか面倒くさいなーとか、そういう気持ちに蓋をして、約束のパーティ会場に赴き、笑顔で挨拶するのが「普通の社会人」だとも思うから、「心の声を聞け」なんて言われても。ではあるんだけど。
でも!
「私の心の声は、行きたくないと言っている…」と言えば、「あ、そう。じゃ、やめたら」ってあっさりしたお返事が返ってくるので驚きます。
「え、いーの?!」
「え、いーよ!自分で決めなよ」
本当に、いろんな人がこういうことをさらりと言ってのけるので、言われるたびに、心の声をリスペクトされる感じがしてホッとする。。。
繰り返して行くうち、心の声に従うのが上手になるかもしれない。と思うイタリア暮らしです。ま、同時に行かない決定をした責任も感じるんだけど。
もちろん、一事が万事というわけではなく、今回のように仕事でもなく、行かなかったとて大した問題にもならなさそうな場合ですけどね。さすがのイタリアでも。そこら辺は空気を読む必要がありますよ。
シラクーサの古代遺跡で謎の義務感から解放された思い出
そういえば、むかーし昔、こんなことがありました。
イタリアに暮らす前、生まれて初めて一人旅をしたときのこと。
シチリアのシラクーサというところのマストである観光スポット、古代ギリシャ遺跡に行ったのだけど、一人ポツネン…と見学しながら、
「はて?なぜに私はギリシャ遺跡なぞを見ているだろう?」
と、なんだかとても不思議な気持ちになったので、ひとりでヒマだし、しばし遺跡に座ってぼんやり考えてみたら、
「あーそうか。この不思議な感じは、義務感か!」
と気づきました。
旅行に行ったら、遺跡旧跡は見て感動しなくちゃいけない。たとえ興味がなくても、見ておかねばならぬ。と言う謎の刷り込み。心の声は「つまらん」なのに。
「一人でいるのに、バカバカしい!」
と、パパっとお尻払って写真も撮らず、とっとと遺跡をあとにしました。
その後、ガイドブックを捨てて適当に、興味をそそられる路地裏をテクテク歩き続けて、廃墟だと思ってた家に人が住んでてビックリしたり(覗くな)、売り出し中の廃墟を購入した場合の算段をしたり(ってその頃のシラクーサは、世界遺産になる前で、まさに廃墟祭りだったんですよねぇ。あーあの時買っていれば!)。いろんな出会いもあって充実した3日感を過ごすことができました。良い思い出♪
義務感を感じるのは習慣で、よく考えてみると大した義務でもなかったり、そもそも勝手に義務だと思いこんでたりすることがよくあるな~。誰にも頼まれていないのに・笑!
と、イタリアにいると気づくことが多いですね。
で、結局、パーティは行かないことを決めたわけですが、「お断りの電話、しといてね!」だって。
電話するのも面倒だけど…行かない楽チンさを選んだのは自分だから、それくらいは喜んで。あ、これが自己責任ってぇヤツでしょうかね。
日々是精進でございますよ。
* * * * *ここまで転載記事
ちなみに今は、遺跡を「面白い」と思います。歳を重ねることに、興味は変わってゆくものですね。
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