パレルモ市バス体験記〜魑魅魍魎が蠢く車内で背中に飛んだビンタ編

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さてっと、めったに乗りたくない市バスシリーズです。

序章から始めて・・・あったこと全部書こう!と思ったんだけど、くどくど書いてたら8月いっぱいバス話で終わっちゃいそうなのでw、一番ヒドかった話で唐突ですが最終編にします。

https://bonsenpai.com/blog-italia20150801

病院へのバス通勤…。本当にいろいろなことがありました。1時間10分も暗闇で待ってり、売春婦に間違われたり、後ろの席で大合唱が始って鼓膜やぶれそうになったり、声のでっかいジジィに絡まれたり…ってね。平穏に乗れたことなど、ほぼなくいい加減うんざりしていた、つい一昨日のことです。

長いケド、お付き合いください…。

旧Ameba Blogからの転載記事です。



夏の市バスはカオス!下町に向かうバスはカオス!

炎天下で待てど暮らせど、やってくるバスはモンデッロビーチ行きばかり。海行き路線は増やして、街中路線は減る。わかりやすいじゃあ、ないか、パレルモよ!しかし夏だからとて、海に行く民ばかりではないのだっ!

と、デモが起きそうになったところで、目的地(下町駅裏方面)へのバスがやってきました。

乗ってみると、すでに激混み(運行本数が減ってるから…)。

なんとかスペースを確保して、籠バックを抱えてジッとしていました。手にぶら下げてると、腕から先が盗まれそうだったし。

走り出すバスに揺られ、なんとなく周囲の話題に耳を傾ければ(傾けるも何も、すんげー大声で盛り上がっていたので耳に入ってきたんだけど)、話題は”近くの席に座っている路上生活者っぽいおじいさんが臭い”って話でした。

おいおい…。そのおじさん、目の前にいるのに!「臭い臭い」と、あちこちの窓を開けたりして…なんだかげんなりしていたら(まー実際臭かったので助かったけど)、どこからか「なんでモンデッロ行きばかり走らせるんだっ!」と、突然、運転手に怒鳴り始める声

すると、周りから「そーだそーだ」の大合唱。いい気に声の主(おじさん)は、

「俺たちはもう、チケットは買わない!こんなサービスのバスに金なんか払えるかっ!」

「そーだそーだ」

「誰も払わなくなれば、お前たちもわかるだろう!そうやって俺たちの街を良くして行こう!」

「そーだそーだ!」

なんじゃそりゃ!なんだかお門違いな気もするけど、ある意味民主的w?運転手はただの社員だから、何も関係ないのにカワイそうだなぁ…などと思いつつ、臭いだの遅いだのお金払わないだと街をよくするのだーなど、カオスな蠢きを乗せて走るバスに乗る私。。。

時々、自分がどこにいるのかわからなくなりますw。

そうして、いくつかの停留所を経て、さらに人が乗ってきて19時頃の銀座線くらいの混み方になりました。

乗ってくる人々の様子は、汗だく、くたびれた洋服、険しい顔。なんだろう、ネオレアリズムの映画のようだ。蟹工船か。バス停にいたマダム風のおばさまたちは、乗るのをあきらめたりしてました。

ベビーカー母も負けてない!

もう、降りたい!
でも、動けない…。

かなり気持ちが萎えていたある停留所で、なーんとベビーカー(@_@)が乗ってきました!

うっはーこの状況で乗るかっ!とは驚きましたが、また心の声を口に出していうどこかのババァが、バスの中心で叫ぶ。

「こんな状況で、乗せるなっ!抱っこしてたため!」

すると、その声にベビーカーの母は、

「こんなに暑いのに、抱っこなんかできるかぁっ!」

と、怒鳴り返したのです!

すげーな、おい…。
母は強しのレベルが違う。

でも、もうダメ、こんな中にいたくない。
次の停留所で降りよう…。

(しかし、子供もよく泣かないなぁ…慣れているのか、罵声ってヤツに…)



ゾンビの森をかき分け降りる背中に飛んだビンタ…

そう意を決してから、降り口に向かおうとしたけれど、もはや動けない状態になっていました。ぎっしり汗だくのバス民が詰まってて、ぜんぜん前に進めない〜!

バスが停車してドアが開く。

ぐいぐい。ぐいぐい…。ぐ…。
いや〜〜どいてーーーー!

ゼーゼーしながらやっと到着した降り口付近に、必要以上にデカいババァが乾いたヘドロのようにへばりついていました。ぐいぐいとゾンビの森からやっと顔を出したミーアキャットをグッと睨んでくる…。

「きゃっ」とついひるんでしまい、ちょっと斜め後方を押してしまった時…、

「このチネーゼ!●×▽×!!!!」
(↑もう何言ってたかわからない)

と、ものすごいの怒鳴り声。

…チネーゼ?
え?
あ、あたし?

と、振り返ると、鬼のような形相をした小さいババァとジジィのグループ(4人くらい)が、すごい剣幕でガ―ガ―ワーワーと何語かわからない言葉(どぎついパレルモ弁)でまくし立てています。

あまりの様相に一瞬呆然とすると、

バチコーンッ!!!

え?た、叩かれた?
サービスエース!っつーくらいの勢いで、むき出しの背中の上のあたりにビンタ一撃(キャミワンピでした)。

え(+_+)?!
えええ?えええええ????

とか言ってる間に、人の波に飲み込まれポロッとバスから降ろされてしまいました。

オットット…と体制を直して振り向くと、私のすぐ後ろにいて一緒に降りてきたおじさんが、バスの中の魑魅魍魎(さっきのバチコーン集団)と口論してます。「チネーゼ」がどうたらこうたらって言いながら…。あ、なんか抗議してくれてるのかな?とはわかったけど、理解が追いつかず。

混乱の中、私が言えたのは、

「No! Giapponese! ノー!日本人!」

いや、違う!そんなこと言ってる場合じゃないっ!アワワワワ。としてる間に、扉は締まり魑魅魍魎を乗せたバスは行ってしまった…。

ポカーン…。

この後、口論してたおじさんが、「ごめんね、彼らは貧乏でまったく教育されてなく、本当の無知だから許してあげて」って言われました(あ、やっぱり抗議してくれてたんだ)。

「サファリみたいですね」と言うと、おじさんは「あはははは、あーそうかもねー」と笑いながら去って行きました。

…乾燥した空気に粉塵をあげて行き交うバスや車、裸同然のパレルモっ子たちが笑いさざめき脇を通り過ぎていく。炎天下に一人残され、ジッと手を見る…っていうか冷静になったら、なんだか背中がチクチク…。

ん?ババァ、バチコーンついでに何かつけたかっ?!

と、慌てて確認するとキャミワンピの肩ひもの長さを調節するプラスチックのアジャスター割れて、汗ばんだ背中に張り付いてた…。

ちょ…プラスチックを割るほどの勢いで叩かれいた?ということ?

キーッッッ!!!急に怒り爆発!(←反応が遅すぎる)

しかし、爆発したところで後の祭り。。。グッと飲み込むしかありません。

イタリアに暮らして約10ウン年が経ちますが、ここまで実質的な被害を受けたのは初めて!おかしなことや納得できないことや、あれやこれやあったけどさーーーー。

パレルモには明確な社会階層が残っていて、バス内で出会った人たちは、極底辺の人たちのようですが(サファリパーク並み)。特に乗った路線が駅裏方向に向かうヤツだったので、割合が多かったとかいないとか。

こういった方々と普段触れ合う機会はほぼありませんし、一般的な観光エリアにもほぼいませんが、観光客が行かないようなディープな下町の裏道とかには「いる」ので、あまり迂闊に行かない方が良いかもなーと思う次第ですよ。マフィアより危険よーw。

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