コーラ大好き!フリーダムな入院患者たち〜パレルモの夏の怪談2

スポンサーリンク

《前回のお話》

イタリアの病院で入院!ピンキー(夫)緊急搬送の巻き〜パレルモの夏の怪談1
さあて、夏の怪談話シリーズ(?)今日は、病院話ですよっと...

はい、っというわけで病院話の続きです!



入院先は、パレルモ有数の治安極悪エリアにあり!

イタリアの病院にはざっくり分けると公立私立があり、公立は無料だけど対応はそれなり(それなりのレベルは、ピンからキリまで!)。私立は実費医療で、対応はまとも。ってな感じです。

今回、ピンキー(夫)がお世話になってる病院は、前者。

しかーも、パレルモでも有数の…、
治安のド・エライ悪~いエリア…のそば。

あ〜映画ゴモッラを観た方はいるでしょうか?リアルすぎる近代マフィア映画の名作。あれはナポリですけれど、あの映画に出てくるエリアのパレルモ版って感じのとこです。

そんなわけなんで、患者さんたちの趣も予想を裏切らない感じで、でもなんだか優しくて「人生の痛みを知っている」みたいな人多数(実際、カラダもどこか痛いし)。

例えば…病院の入り口で入院患者と見舞人が入り乱れ、やいのやいの賑わっていたときのこと。

突然、ウォォォォ!という嗚咽?咆哮?が入口ホールから聞こえてきたことがあり、「すわ何事か!」とタトゥー多めの太った人たちが、ゾロゾロと声の先を見に行ったんですね。

で、神妙な顔でゾロゾロ戻ってきた。

両手を広げて顔をぶんぶんしながら、無言で。そうして、何事もなかったかのように元の話に戻ったのでした。

…ここは病院ですからね。きっと誰かに何かとてつもなくツラいことがあったに違いない。

私は度肝を抜かれちゃったんですけど、人々は「みなまでいうな」的態度であえて口にも出さず、何事もなかったのように振る舞うって、

なんというか…、

ああ、人の痛みがわかる人たちなんだなー。

と、感じさせられたわけです。事故現場でスマホ撮影する人がいる世の中でねぇ(悲劇的な場面に慣れているだけかもだけど…)。



家族愛と隣人愛にあふれ過ぎる相部屋仲間たち

同室になった若い男子も治安極悪エリアの子。

24時間付きっきりの彼女と共に(近しい間柄の人は24時間そばにいられる模様)、なんやかんやと頼りないピンキー(夫)のお世話を焼いてくれました。

遠慮してナースコールできないwピンキーから「ほら、かしな!」とぶっきらぼうにナースコールボタンを奪い、替わりに押してくれたり、寒さに弱いピンキーのために(冷房効きすぎー)、追加でシーツをもらってきてくれたり、エアコンの温度調整をしてくれたり。本当に親切!

(ええ、妻がやれよって話でもありますが)

しっかりものの彼女の方は、態度が煮え切らないピンキーを「手術がイヤだからって、痛いの隠してたらダメだよ!」って、叱咤してくれたりもしましたw。

このしっかりものの彼女を含めた少年のご家族の団結力もさすがの南イタリア?!ってなもんで、

毎日夕方の面会時間になると、

ピクニックですか?

と問いかけたくなる量の食べ物と共に、親戚一同が大挙して押し寄せてくるとゆー…。病室は大混雑する上、パスタ・アル・フォルノやらピッツァやら、脂っこい食べ物の匂いがスゴいったらありませんw。

絶食中のピンキーの前で…食うなっ!

(人の痛みが全然わかってないじゃんw?)

とか思って見てたら、欲しいのかと思われたようで。ピッツァをおすそ分けしてくれたりしましたけど。

(私の空腹はわかってくれたらしい)

差し入れには、食べ物のほかに、

あと…、

テレビ

もありましたね・笑。ええ、本体ですよ。なにしろ続きが気になる番組があるとかで。

で、イヤホン使わず、普通のボリュームで、しかも夜中まで見てたから、温厚でモジモジくんなピンキーもこれには参って勇気を出して注意をしたら、

ちゃ〜んと!
ボリュームは下げてくれたそうです。

(でも消さない・笑)。



絶食がつらいなら、近くのバールでアランチーナを?!

面会時間は一応夕方って決まっていたけど、もちろん出入り自由。「近しい人は24時間OK」なのも、彼女が決めたルールかもしれなし、消灯時間もあいまいで携帯も病室で使いたい放題

ベッドとベッドの間にカーテンの仕切りはなく、患者のプライベートはゼロ!そして、病院食があるのに誰もが自由に何かを食べている(病室内でピクニックしてるくらいですからね)!

うん?病棟的には消化器系のはずなんだけどw。

若い男子君は、腸にトゥモーレ(腫瘍)があり近々手術予定だったけど、枕元には、お菓子とコーラとファンタ常備。食べて飲んで、自由にうろうろして夜中までテレビ。って…

夏休みかっ!

向かいのお部屋にいた2m強の巨漢コックさんは、

「病院前のバールがさー意外とうまいんだよ。アランチーナとスフィンチョーネがサイコー。絶食つらいなら、食べに行ってみれば?」

と、絶食中のピンキーになんどもアドバイスしてくれて、ある意味とても優しいのです。そんな彼の病名は、大腸ヘルニア。そんな油っこいもの食べて、大丈夫なんでしょーか~ね?!

パジャマ姿の患者たちが部屋を越えて訪問し合い、家族全員が見舞いに来る面会時間はカオスそのもので、そこに漂う香りは、病院というより下町のピアッツァw。

そうそう、紙バック持って、いっつも廊下をウロウロしてる人がいたので、情報通のコックさんに聞いてみると、

「ああ、あの紙バックね。
尿だよ。
裸で持つのは恥ずかしいからね。
あはははは!」

って…なぜ、寝ていない…。

行動も食事もフリーダム過ぎて、言いつけ守ってベッドでじっとしつつ、まずいセモリナ粉のおかゆで我慢してたピンキーってこの状況の中では、ものすごい異色な存在でした。

ピンキーの(っていうか一般的な)常識が非常識。

ヨノナカには、色んなジョーシキが存在してますなー。

DV被害者妊婦がなけなしの1ユーロで買うものは…

そもそも坊ちゃん臭のするピンキーは、彼らにとっては物珍しいのか、やたらと入院患者とその家族に構われて、ちょっと影響を受け過ぎじゃないの?と心配になったこともありました。

それは、ピンキーの隣のベッドに血圧400越えで緊急搬送されたおじいさんの娘さんの話。

この娘さん自体が耳が遠く(若干39歳孫1人)、ある時、おじいさんが呼吸困難に陥ってるのに気付かないまま携帯いじってて、ピンキーがナースコールして一命を取り留めた…なんてことがあり、お礼がてらに親しくなってお話したらしいんですけれどね。

この娘さんのお姉さんだか妹さんだかに娘さんがいて(つまり姪)、今、妊娠中なんだとか。で、その旦那が失業中な上、DV!食べ物もロクに買えないらしく、姪っ子さんはこの娘さんに、しばしばお金をもらいにくるんだとか。

だけど、娘さんにもいつもお金があるわけじゃないから、1ユーロとかをあげるらしいんですが…(1ユーロ?って突っ込みどころはまだここじゃないからね)

「それでね、あの子はね、
やっと…、
コーラ
が買えるのよぉぉ(涙)!!」

え?一瞬耳を疑いましたよ?

そこでコーラなの?
パンや卵ではなく?
コーラ?

ものすごいそこのところが気になるんだけど、ピンキーは、その話をしながら、

「…カワイそう!!!」

と叫び、そして…

泣いたのです!

ええ?!
コーラは?
ねえ、妊婦がコーラでいいの?

っていうか、血圧400もある父親を放っておいて携帯いじってるのもなんか違うし、隣のよく知らないおじさん(ピンキー)に姪の夫がDVだとか、そんな話する?

その日、一緒にお見舞いにきて、この話を聞いていた友達も「全体的に何かが違う…」と思ったらしいけど、ピンキーがあまりに弱って泣くもんで、何も言えず。背中をさすって慰めたりしてましたw。

病気で弱ってるし、おじいさんの一命取り留めた後だし、ココロが揺れ揺れだったんでしょうかねぇ…。

もう…コーラでもなんでも良いけど、病人に余計な話するな!うちの旦那を安静にしろ!そんで、アンタもいちいち感情移入してるんじゃないっ!とピンキーにも腹が立ってきましたよ。

行くだけでなんかものすごーく疲れる(それでなくても心配な)のに、病院通いの前後はバス民との攻防。

もう白髪だらけですよっヽ(;´Д`)ノ!

…続く。

今日も長い話を最後まで読んでくれてありがとう!
明日は、悪魔のP先生の話だよん!

手術直前にエスプレッソ?!バングラさんの悲劇〜パレルモの夏の怪談3
親切だけど、なかなかに鬱陶しい入院仲間に囲まれた、珍奇な...

旧Ameba Blogからの転載記事です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました