豊かな言葉を持つということ〜パレルモ下町の70年代ドキュメンタリーを観て… 

どうも皆さま、ボンジョルノ♪

秋晴れ!というか、晩夏晴れ?夏寄り…の秋分の日。行楽日和とも言いますけれど、お出かけの方が多いのかしらー。イタリアは普通に平日です。

パレルモ下町の70年代のリアルな極悪な暮らし

さて、なんとなく秋の夜長な気分で、昨夜、こんなドキュメンタリーを発見。たまたま関連動画に出てきたんだけど、大変興味深く拝見しました!(Youtube の関連動画は蟻地獄…危険だけど、掘り出し物もたまにあるのでハマったままです)

なーんと、1975年に収録されたパレルモ旧市街ヴッチリアのご自宅訪問インタビューですよ!(ちょうど上の写真の裏手あたりで撮られた模様)

でも…「お宅拝見!」ってなノリのものではなく、当時の社会問題を浮き彫りにする証言映像で、失業、貧困、搾取。国のセーフティネットが存在しない状態で暮らす人々の現状とは…というもの。

当時のイタリアは、行政が整っておらず、伝統と習慣、また第二次世界大戦の影響も色濃く残り、福祉の谷間にすっかり落ちてしまった人々は、パレルモに限らず(特に南イタリアや全国の地方)多数いたと思われますが、とてつもない悪環境な暮らしぶりに驚愕しました。

(ピンキー(夫)は同じ時代の同じシチリアで蝶ネクタイつけて幼稚園通っていたというから、今とは比べ物にならないほどの格差社会だったようです。それも驚愕。)

ついでに、登場するお父さん達二人の美貌!モデルになるべき!ってくらいの超絶イケメンっぷりにもかなり驚かされましたが、まあ、それは置いといて。



質問に答えられない奥さんにハラハラ

主役は、失業中のイケメン父さんと駆け落ちして結婚したというボンヤリした奥さん。さらにボンヤリした妹さんとまたまた極イケメンの夫さん。それにそれぞれの子供たち。

2家族総勢11名!が、ヴッチリアの路地裏の…日本でいうところの3K(3部屋+キッチン)に仲良く暮らしているところに、突撃隣の晩ごはん。いや、きっついインタビュアーが根掘り葉掘りします(もうやめてあげて!ってくらい)。

イケメン父さんは一度も小学校に通っておらず、ボンヤリ奥さんは小三まで。つまり、二人とも非識字者なのですが、まあ…当時はさまざまな理由で学習の機会を奪われた人たちもきっと多かったようなので、驚くに値するようなことではないのかもしれませんが、その”実態”に素直に驚きました(今はさすがに99%らしい)。

そういえばイタリアに住み始めた2000年代始め頃、ミラノからナポリに向かうIntercityのコンパートメントに乗り合わせたナポリのおばさんに、ローマで下車する時、読んでいた雑誌を「いる?」って聞いたら、「あ、私、読めないから〜」とさらりと言われて、驚きのあまり震えながらテルミニ駅で降りた事がありました。でかいパールのピアスをしてたのに。人は見かけによらないものだと知ったあの日…。

特に、奥さんがね…インタビューに対して、もう…全然答えられないの。見ててハラハラするくらい。イケメン父さんはまあまあ雄弁だったんだけど。たわいもない会話はできるけど、聞かれたことに、ひと言、ふた言返すのが精一杯。

…恐らく表現する言葉を持ち合わせてないのかもしれないのか?

子育てに追われて外界と接する機会はほぼなく(「家から出ない」と言っていた)自分の置かれた状況や気持ちを誰かに伝える機会もなく、文盲で本も読む習慣もないから知識も増えず。。。物理的かつ精神的に閉された世界に生きているようでもありました。

それに、もしかしたら客観的に現状を把握するところまで、至ってないかもしれない。

「なんだか沼にはまってるみたいだけど、どうしてはまってるのかさっぱりわからない。旦那がなんとかしてくれるだろう。私は子育てで手一杯。楽しくないムズカシイコトは聞かないでくれ」って香りも漂っていたので。

そんな奥さんのあまりの空虚さに衝撃を受け…つい、2回見てしまいましたw。



豊かな言葉は身を助く

そんなわけで、昨夜からの我が家は、時代とはいえ恐ろしいまでの貧困問題はさることながら、奥さんの空虚さに話題が持ちきりで、今朝もまだ続行中w。早朝からカフェを飲みつつ、ボン散歩しつつ…件のインタビュアー並みに深堀りです。

「目の前にある現実を言葉によって表現するとき、それが具体的で豊かであればあるほど、その”現実”はより実態に近くなる。目に見えるもの以外の部分を補完する知識があれば、より多角的に表現ができるから、その”現実”は立体的になって極限まで実態に近づくもんだ。」とピンキー(夫)。

ホントそうねぇ。言葉はコミュニケーションのツールである前に、物事の輪郭をはっきりさせるために必要なんですねぇ。

モヤっとした今の気持ち、なんだかヤダなって感じとか、そういうったふんわりとした不具合も、具体的に表現する言葉があれば、検索もできるし解決する糸口も見つけやすいもの。

言葉は暮らしを豊か彩るし、なにしろ身を助くだな(イケメン父さんも雄弁だけど、契約交渉などでは言い負かされてしまうようでしたから…)。うん、本を読もう。と秋らしい気分にしてくれた奥さん、いや、動画でした。

全編イタリア語な上、ちょいちょいきっついパレルモ弁で字幕もないですが…ご興味ある人はぜひ?!

ところで、イケメン父さんは「子供には何としても学校に通わせたい」と熱く語っていましたが(うん、その方が良いよー)、どうも息子は揚げ物屋でお手伝いするのが好きらしく、学校が終わるとまず揚げ物屋だそうです。…今、ご健在なら50代。まだヴッチリア在の可能性もあるね。今度行ったら聞いてみようと思いますよw。

コメント

  1. かまくら より:

    初めまして。パレルモ に旅行に行った後にこのブログを読ませて頂くようになり(遅くて済みません)、読む度に、思い出をなぞりながら、見なかったシチリアについてのあれこれを想像している者です。毎回毎回、日に日に日本語を忘れていき、英語も全く成長しない自分を反省しながら、ブログの文の滑らかさ、読ませ方に「言葉を仕事に使っている人は、素晴らしい」と感動しています。

    イギリスの港町在住で、イギリスで配信されているドラマの「La mafia uccide solo d’estate」が大好きです。その舞台も70年台後半のパレルモ ですが、このYoutubeの映像は、ドラマのパレルモ やドラマから想像したパレルモ とは結構違っていて、イタリア語チンプンカンプンですが眺めるように見ていました。

    ドラマもこの映像も、その時代のイタリアの問題を見つめるために作られた、という所がイタリア人って偉いな、と思う所です。その時代の日本にはそういう発想がなかったと思いますし、イギリス人はその時代経済的に大変だったとしても、自分たちはGreatだと思っている(た)人たちですし。ちなみに35分後半に出てきたオジサンは役所の人でしょうか?

    それにしても、この映像を見ていて、お父さん二人だけでなく他のオジサン達も「イタリア人ってなんてピンクのシャツが似合いそうな人たちなのだろう」と自転車競技、特にジロ・デ・イタリアのファンの旦那を持つ私は思いました。

    これからもブログ、少しずつ以前のものもキャッチアップしながら楽しみに読ませていただきます。

    • sawabon より:

      >かまくらさま

      初めまして!素敵なコメントをありがとうございます。
      イタリア人は歴史に対する検証(反省も含めて)がしっかりしているな。と感じることがしばしばです。
      正しく過去を認識することは、しっかり安定した心で今を生きるのに必要なことでもあるのかな、などとイタリア人を見て思ったりもします。修正主義は自らの破綻を招きそう。

      35分ごろに出てきたおじさんは、お医者さんです。子供の生活環境と健康状態への影響などを話していました。すこぶる状態が悪いと…見るからに栄養不足ですもんねぇ。

      >「イタリア人ってなんてピンクのシャツが似合いそうな人たちなのだろう」

      www。ほんと、そうですね。赤いパンツも。難なくきこなしてるおじいさんとか、感心しますよーw。

      今後ともどうぞよろしくお願いします♪

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