うーん、昨日からイタリアのトップニュースは、これデス。
トト・リイナ獄中で死去。
日本の新聞でもチラッと報道されていたようですね〜。
いわばマフィアの本場(?)、ここシチリアの州都パレルモから…サルヴァトーレ・リイナと日常のマフィア話wなどをチラリとご紹介しますね。
最後のマフィアの大ボス、サルヴァトーレ・リイナとは
さて、サルヴァトーレ・リイナとは誰なのか。
イタリアでは、トト・リイナ(もしくはリーナ)と呼ばれるその人は、かつての時代のマフィア、コーザノーストラの大ボス。コルレオーネ村の出身です。
戦後、台頭してきた”田舎マフィア”を代表する人でもあり、70年代に組織を受け継いだ後、その明晰さと残虐さでコルレオネーゼ(コルレオーネ組)の勢力を拡大。
▼コルレオーネ村は、パレルモから内陸部に60kmくらい入ったところに実在しますよー。
マフィアの頂点に登りつめ、「ボスの中のボス Il capo dei capi イル・カーポ・デイ・カーピ」とも呼ばれます。イタリアでは、このタイトルでTVドラマになったりしてますよ。
シチリア・マフィアは、”ニックネーム呼び”が通例
トト・リイナは、シチリアでは…と言うか、パレルモ界隈では、û curtu ウー・クルトゥと呼ばれていたりもします。(イタリア語ではない)シチリア語で、意味は「小さい男」w。イタリア語なら、ピッコロちゃんって感じですかね。
身長が158cmと低めで、その見た目からそんなあだ名がついたそうですけどね。シチリアでは、気軽にあだ名をつける習慣があり、マフィアもあだ名で呼ばれてるケースが多々。
うちのピンキー(夫)は近所のおっさんたちに「パンタロンチー二(短いパンツ)」と呼ばれていた時がありましたw。シチリアのクラシックな男性たちは履かない、ひざ下丈くらいショートパンツを夏によく履いてるからなんですけどね。ボン先輩は、「イル・マローネ(The 茶色) 」
また、その果てしない暴漢ぶりからLa Belva ラ・ベルヴァとも。意味は、野獣!こわっ。
”改心者”(←警察に情報提供したマフィアの呼び方)の息子を誘拐・監禁し、最終的に酸で溶かしたり、反マフィアのヒーローであるファルコーネ・ボルセッリーノ両判事を暗殺(爆殺)したり。
主に、80〜90年代にあったこれらの凄惨な事件の数々は、ほとんどこの人が首謀犯。今でもパレルモの人々の心には深ーく刻まれていて…まるで昨日のことのように、当時の話を聞くこともあります。
パレルモの暮らしで語られる当時のリアルマフィア話
マフィアの抗争が一番激しかった80〜90年代って、そんなに遠い昔でもないから、「ニュース番組をリアルタイムに見て覚えてる」という人はもちろん、「ファルコーネやボルセッリーノの暗殺時の爆破音を聞いた」という人もいます。
ファルコーネ氏の爆破は空港と市内を結ぶ道路上なのでちょっとその記憶は怪しいですがw、ボルセッリーノ氏の爆破は、街中…。そりゃ聞こえただろうと思われます。
「あの頃は、毎日毎日新聞に屍体写真が載っていた」と遠い目をしながら話す人もいるし、ピンキーパパ(義父)はブッチリア市場の路地で、打たれたてホヤホヤの人を見たそうです。
当時のパレルモの夜は真っ暗で、コルレオネージVSパレルミターニの抗争に巻き込まれないよう、出かける人も少なかったそうですが(邪魔なところに駐車してた車は燃やされたとか)、ピンキー含め若者たちは、開いてるロカーレ情報を共有し、夜な夜な”秘密クラブ”に集まっていたそう。
若者ってそんなもんよねー。
そんな暗黒の時代に、新聞を賑わせたマフィア事件のスクープ写真を撮り続けたのが、知る人ぞ知る写真ジャーナリスト、レティツィア・バッタリアさん。




今もパレルモにご健在で、元気に活躍されてますよー。
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死刑がないイタリア、”26回生き返っても毎回終身刑”という刑に服す
さてさて、トト・リイナの話に戻ります。
彼は24年の逃亡生活を経たのち、逮捕されたのが1993年。その後、獄中で長々と生きながらえ、やっと…その激しい生涯に幕を閉じたわけです。獄中で。
享年87歳。
イタリアでは、死刑がありません。
最高は、エルガストロ(終身刑)。
トト・リイナは、な〜んとエルガストロ刑を26回も!宣告されていました。
数々の裁判結果の集計でそうなりますが、つまりそれは…26回生き返ってもその人生は刑務所の中で終えることを意味します。
生き返ること前提?なんじゃそりゃぁw!あ、アメリカなどでもそうですよね。ずいぶん輪廻転生な考え方ですよね。
そういえば、トト・リイナの後継者だった、もう一人の大ボスと呼ばれるベルナルド・プロヴェンツァーノも昨年、獄中死してます。
世界中に、マフィアの悪名を轟かせる元凶となった2人の大ボスは、もはやこの世を去りました。
しかし…プロヴェンツァーノの逮捕後は、マフィアは地下に潜り、イタリアはおろか欧州全体、ロシア、アメリカの経済界/政界にしっかりとその根を張り、存在し続けています。
パレルモにマフィアはいる?治安はどう?
今もなおシチリア=マフィアのイメージが根強いですが、実際のところはどうなのか。
「マフィア、危なくないですかー?」などと、よく聞かれますが、日常暮らしていて「あの人、そう!」ということは滅多にないし(極たまーにありますがw)。ドンパチしてるわけでもない(それは90年代初頭まで)。
旅行者も、相手にされることはまずないでしょう(もし石油王や大富豪、闇世界のシンジゲートに関わってないなら、マフィアに興味をもたれることもないはずw)。
ただし、下っ端マフィア(チンピラ)がスリ・置き引きなんかはするかもですが、それはどこの街でも同じですね。
パレルモでマフィアが危ない!なんて思ったことはないけど、マフィア的発想だな。と思うようなことは、しばしば。そんな話は、またそのうち…w。
▼パレルモの危険なエリア・防犯対策まとめ
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