どうも皆さま、ボンジョルノ♪
昨日の安倍首相の全国休校要請のニュースはチラッとイタリアでも報道されましたよ。共働きの友人たちからも大変〜と声が届いてます…。
イタリアは感染地域から順に休校になりましたが…それでも混乱してますから、全国一斉となると混乱の極みですよね。細かい判断は各自治体に委ねられるのかとは思いますけど、それもまた…責任重い。
大人も大変だけど子供もかわいそう。卒業式など延期でも開催できるといいですね。。。
イタリアでは、休校になったミラノの校長先生が生徒に宛てた手紙が素晴らしい!と話題になっています。イタリア人の友人たちからSNSでも回ってきました。「なるほど…」と思ったので、意訳してご紹介しますね!
親愛なる生徒たちへ〜ミラノのヴォルタ高校校長先生の手紙
ロンバルディア州の緊急対策で休校になったミラノのアレッサンドロ・ヴォルタ高校のドメニコ・スクイラーチェ校長が、生徒たちへのメッセージを同行のネット掲示板に掲載。17世紀のミラノを襲ったペスト感染の状況を語るマンゾーニの名著”許嫁(I Promessi Sposi)”の引用から始まる。
〜ヴォルタ高校の皆さんへ〜
”ドイツのアラマン族がミラノに持ち込む可能性があると健康省が恐れていたペスト。それは、実際に持ち込まれ、イタリア中に蔓延し、人々を死に至らしめた…”
これは、1630年にミラノを襲ったペストの流行について書かれた”許嫁”の有名な第31章です。見事な先見性と良質な文章。ここ数日の混乱の中に置かれた君たちに、よく読んでみることをお勧めします。ここに全てが書かれています。
外国人を危険と見なし、当局間は激しい衝突。最初の感染者をヒステリックなまでに捜索し、専門家を軽視し、感染させた疑いのある者を狩り、デマに翻弄され、愚かな治療を試し、必需品を買い漁り、そして医療危機。
君たちもよく知っている通りの名前がいくつも登場するこの章は、マンゾーニの小説というより、まるで今日の新聞を読んでいるかのようです。
親愛なる生徒たち。規則的な学校生活は市民の秩序を学ぶためにも必要です。休校に至るには、当局もそれ相応の決断をしたのでしょう。専門家でもない私は、その判断の正当性を評価することも、また評価できると過信もしません。当局の判断を信頼し、尊重し、その指示を注意深く観察して、そして君たちには次のことを伝えたいと思います。
冷静さを保ち、集団パニックに巻き込まれないでください。基本的な対策(手洗いうがいなど)を怠らず日常生活を続けてください。
この機会を利用して散歩をしたり、良質な本を読んでください。体調に不備がなければ家にこもっている理由はありませんが、スーパーや薬局に殺到しマスクを探しに行く理由もありません。マスクは病気の人に必要なものです。
感染の広がりが速いのは、発展した文明の結果です。それを止める壁がないことは、数世紀前も同様で、ただその速度が遅かっただけです。このような危機における最大のリスクについては、マンゾーニ、そしてボッカッチョが、私たちに教えてくれています。
それは、人間が作る社会が毒され、市民生活が荒れること。目に見えない敵に脅かされた時、人間の本能は、あたかもそこらじゅうに敵がいるかのように感じさせ、私たちと同じ人々までもを脅威とみなしてしまう危険があります。
14世紀と17世紀のペスト流行時とは異なり、現代の私たちには確実で進歩し続ける医学があります。社会と人間性、私たちの最も貴重な資産であるこれらを守るために、文明的で合理的な思考をしましょう。もしそれができなければ、”ペスト”が勝利してしまうかもしれません。
では、学校で君たちを待っています。
©Translated by Sawabon
※追記:3月3日:翻訳文の全文コピペをされ、かつ「自身で翻訳した」とブログ掲載されている方がいるとの報告をいただきました。著作権侵害に当たる可能性があります。本翻訳は意訳のため、一部構成が原文とは異なります。引用される場合は、全文掲載はご遠慮いただき、当記事へのリンクする形式でお願いします(やむなくコピペ禁止設定としました。良識ある皆さまにはご不便をかけて申し訳ございません)。
↑いつものように…読みやすく意訳しましたが、上の方のリンクに全文ありますので、イタリア語学習中の方は挑戦してみてね!
差別やパニック、あいまいな情報に飛びつくことの無意味さ…政府への懐疑もエレガントに包み込みながら、いろいろな示唆に富んでいます。
未知のウィルスと大人たちが繰り広げる騒動に巻き込まれ、子供たちだって不安ですよね。子供思いの良い先生です!ミラノの校長先生ですが、ご出身は南イタリアだそうですよ。
それにしても、人間とは何世紀たっても変わらないものなんだなぁ。
くちばしの先に薬草と藁を入れるらしい…。…当時の必死さが伝わりますね。
▼”許嫁”は国語の教科書にも載る国民的文学として知られています。今、31章はとても興味深い
人間は歴史や文学から学び、科学に支えられて生きている…。私は、学研の“科学と学習”が大好きな子供でした。本もたくさん読んだなぁ…うん、スマホを置いて、久々に本を読もうかな?
参考 こちらの記事も書きました。よかったらどうぞ♪
イタリアでなぜ感染者数が増大したか?日本では報道されないイタリアの人道的な対策、そして今、何が起きているか。現地からのレポートです。
※追記(3月8日):60万アクセス突破!辻仁成さんが編集長のパリメディア他、中高学校の先生方からもご連絡をいただくなど、広い分野でご活用いただきまして光栄です。下記で、リンク元も一部ご紹介させていただきました。
コメント
素晴らしいメッセージですね❗️シェアさせていただきたいです。日本も昔から学ぶ事が大事ですよね。
>勇次英二さま
コメント&シェアありがとうございます!
本当に。歴史から学ぶことはたくさんありますよね!
知性と教養を感じさせる、素晴らしい校長先生ですね。
全文翻訳ありがとうございます。
FBシェアさせていただきます。
>千葉綾乃さま
こちらこそ、コメントありがとうございます。
シェアも感謝❤︎です。
この手紙のことを日本の報道で知りました。
生徒さんたちのみならず、大人も傾聴しなくてはならない内容に
感服すると共に、様々な物資の爆買い、買い溜め、法外な価格での
転売などなどが後を絶たない日本を恥ずかしく思っています。
そのような行動は人々の不安を煽り、不安を広げるばかりです。
こちらの校長先生のように、他者への思い遣りや絶対に必要な方々への
配慮が失われつつあることに、別の危機感すら覚えています。
sawabon様のポストをそのまま、Facebookで紹介させて頂きました。
どなたでも、お一人でも、立ち止まって、考えを巡らせて
くださることを願っています。
イタリア語からの翻訳を掲載してくださり、本当にほんとうに
ありがとうございます!!!
>桑原真里子さま
ご丁寧にありがとうございました!
>他者への思い遣りや絶対に必要な方々への
>配慮が失われつつあることに、別の危機感すら覚えています。
同意です。世界中で起きていますね。。。
でもきっと、冷静に自体を把握し、心の余裕を持つために日々できることはきっとあるはず。
そんなことを考える日々です。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します^^。
はじめまして。検索をしていてこちらのブログにたどり着きました。私もFBシェアさせてください。勝手ながら宜しくお願い致します。
>MIOさま
はじめまして!
シェア、ありがとうございました!
広がっていくこと…嬉しいです^^。
はじめまして
素敵な記事 娘から教えてもらい拝見しました。
私も京都の私学の校長をしていますが、
ミラノの校長先生の思いと共感する所大です。
こういった事態にいかに冷静に物事の本質をきちんと見て
生徒の皆さんにどう伝えるか。試行錯誤しながらも対応しております。
世界が、いい意味でも悪い意味でもつながっていることをかんじま。
皆さんに知ってもらいたいと本校ブログにも紹介させていただきました。
記事のリンクの紹介です。
https://nisseihs.wordpress.com/2020/03/06/新型コロナウイルス感染拡大のイタリア/
>水嶋純作さま
リンクをありがとうございました。とても光栄です。
冷静にいるためにも、教養の大切さを改めて考えさせてくれた手紙でした。
生徒さまたちのお役に立てますように…。
不安な日々が続きますが、水嶋先生もどうぞご自愛くださいませ。
FB友達からの投稿でシェアさせていただきました。悲しくなるニュースの多い中、素敵な校長先生とこちらのブログによって心があたたかくなりました。私からまたシェアしてくださった方もいるようです。こういう連鎖がつづいていきますように。ありがとうございました♡
>玉置典代さま
嬉しくなるコメント、こちらこそありがとうございます❤︎!
中学生と一緒に読んだのですが、勉強する!!と急にやる気になっています。
シェアさせてください。
素晴らしい翻訳をありがとうございます。
>セラピラシスさま
こちらこそ、ありがとうございます!
少しでもお役に立てていただけたら嬉しいです❤︎。
これぞ、教養って感じですね。
>らむねさま
ですね!
教養は身と心を助く。だなぁと思います。
朝日デジタルニュースからこちらのサイトにたどり着きました。
こんな有益な情報を有料会員のみに配布=この記事を読みたいなら金を払え という朝日新聞には失望です。
こんな時期に、みんながパニックになっているときに、なぜ有料記事? 無料でより多くの人に読んでもらうべきではないのか???
イタリア校長先生の記事全文記載に感謝です。ありがとうございました。
>Yuuさま
こちらこそ読んでいただいてありがとうございます^^。
この先がどうなるかわからない不安はもうお腹いっぱいですね。
早くおさまると良いですね❤︎!
素晴らしい手紙の翻訳ありがとうございます。南西ドイツのフライブルク近郊に住んでいる池田憲昭です。
FBにリンクを投稿させてもらいました。
>池田憲昭さま
こちらこそ読んでいただきありがとうございました!
リンクシェアのご連絡ありがとうございます。
前回のコメントで漢字変換ミスがありました。お恥ずかしい限りです。
好調先生=校長先生
>河村さま
好調な校長先生ってことで❤︎。ふふっ^^となりました♪
好調先生の書いたお手紙の翻訳、ありがとうございました!フェイスブックを通して子供を持つお友達に教えてあげたいのですが、シェアさせて頂いて宜しいでしょうか。(^^)
>河村孝子さま
こちらこそ読んでいただいてありがとうございます!
FBでのシェア、問題ございません!
ご連絡ありがとうございました^^/。
素晴らしい記事を翻訳紹介してくださってありがとうございました日本に住んでいますが、社会全体がホントに不安材料の流布に飲み込まれたようで、情けないです。今ほど、この校長先生のようなリーダーの声が求められている時期はないのではないでしょうか。
>コタママさま
こちらこそ読んでいただきありがとうございます!
煽られる不安が作り出す不況もこの先怖いです^^;。
手洗いうがいのほか、冷静になるための息抜きも必要ですね。
ご紹介ありがとうございました。この本知りませんでした。
>蒔田芳男さま
こちらこそ読んでいただいてありがとうございます^^!
記事を読ませていただきました。当方もイタリア生活が長く(33年!)ミラノの後、現在はトスカーナ在住で執筆業をしております。マンゾーニの『婚約者』はイタリアの高校生たちが何度も読まされてうんざりしてしまう名作ですが、今まさに、もう一度読み返す必要がありそうですね。素敵な記事をありがとうございました!
>佐藤まどかさま
こちらこそ読んでいただいてありがとうございます。
イタリア生活の先輩ですね!
トスカーナはいかがですか? シチリアは人より羊の方が多くw、平穏そのものです。
早く収まると良いですね^^;。
はじめまして。
FBの先輩がシェアされたこのお手紙を拝読して、とても驚きました。
このお手紙を子どもたちに読んでもよろしいでしょうか?
自分で考え、よりよい未来を創るために今だからこそできることだと思います。
教職員も、学校から離れてしまう子どもたちが心配でならないと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
>廣めぐみ さま
返信が遅くなり申し訳ございません。
ご連絡ありがとうございます!
ぜひぜひ、お子さまたちにも読んであげてくださいませ^^!
感染予防に、今は不安予防も必要ですね。
混沌としている世相。こんな時こそ「知恵」を最高に働かせよう!! ただただ大騒ぎをするだけのために、学校でいろいろと学んだのではないのだ。学んだことを基礎にして、その上へ自分たちの「向上心」を重ねて行こう。「人類の知恵」へ高めるために。
>松島義一さま
そうですね^^。知恵、良い言葉です。